錦糸町ビューティークリニック 医師ブログ

墨田区錦糸町にある美容皮膚科クリニック医師の徒然話

炭酸ガスレーザー治療の際の感染対策について

 炭酸ガスレーザーは様々な治療に使える便利な機器です。コンパクトで価格も手ごろなため、多くの美容皮膚科で導入しています。当院も保有しています。この炭酸ガスレーザーが特によく使われるのは、ほくろやイボの治療です。蒸散、焼灼など様々な効果を持ちますが、分かりやすく言えば皮膚を「削る」タイプのレーザーです。

 炭酸ガスレーザーの治療の際は、多かれ少なかれ血液や体液が皮膚の外に出てきます。ここでは単純に、「血が出る治療」になるとお考えいただだければ結構です。専門的には観血的治療と言います。「血が出る治療」ということは、もし何らかの感染症をお持ちの患者様だった場合、血液を介して患者様から医療従事者へ、また医療従事者や器具を通じて患者様から患者様へ、感染症が伝播する可能性があります。

 これまで、様々な医療機関炭酸ガスレーザーの使用状況を見てきましたが、納得できる感染対策を行っているところは一軒もありませんでした。せいぜい、患者様が変わるごとに、ハンドピース(医師が手で持つ部位)の先端をアルコール綿でささっと拭く程度で、それすら行っていない医療機関が多かったです。

 当院では、ハンドピースには持つ部位全体にフィルムを巻き、操作パネル(治療中に操作パネルに触れて照射設定を変化させることがよくあります)にもフィルムを貼り、治療ごとに毎回このフィルムを交換しています。また、レーザーの照射口も毎回アルコール綿で丁寧に拭いています。また、処置に使う器具はすべて使い捨てか滅菌されたものを使用しています。

 ここまで感染対策を徹底しているのは、自分が歯科治療を受ける時にいつも院内感染に不安に感じているからです。一昔前に比べれば歯科での院内感染に対する意識が向上し、治療ごとに目の前で手袋を交換する、削る道具の先端(タービンというのでしょうか)も治療直前に滅菌パックから開けて出すなどの目に見える感染対策をしてくれる歯科が増えていると思います。しかし、そういう感染対策をしっかりしている歯科であっても、ライトの操作や様々な道具が入った引き出しを開ける動作、マイクロスコープを操作する、などの時に手袋をした手で触っている状況を目撃します。細部まで完璧に感染対策を行うとなれば、コストや手間が大変だと思いますが、結果的にそういう姿勢は患者様から評価され、経営にも良い影響を与えると思います。

 

Kinshicho Beauty Clinic 副院長:遠藤栞

▼経歴
2017年浜松医科大学卒業
2019年Kinshicho Beauty Clinic勤務
2023年東京都立墨東病院麻酔科レジデント終了
麻酔科専門医取得

株式会社メドフリー代表取締役社長
運営メディア | すとれすふりードクター
編集メディア | まだ病棟で消耗してるの